コンサルタントのコラム

JリーグとBリーグの相違点にみるデジタルマーケティングの現在地

いよいよロシアワールドカップが開幕です。ハリルホジッチ監督の解任で味噌をつけてしまい、やや盛り上がりに欠ける印象もありますが、サッカー好きにはとってはあまり関係ありません。寝不足な一カ月が幕を開ける訳です。

さて、少し前になりますが、JリーグとBリーグ。2つの異なるプロスポーツのデジタルマーケティングをテーマとしたセミナーに参加してきました。共通している箇所、違っている箇所があり、一般的なビジネスの場面でもヒントになる内容がありましたので、少し整理してみたいと思います。

JリーグとBリーグ。デジタルマーケティングの現在地は?

Jリーグは、1993年に生まれて今年でちょうど25年目。今では、J1からJ3まで全国に57チーム(3チームは若手チーム)が存在するところまで成長しています。25年の歴史があるため、顧客管理(会員組織、チケット購入者、シーズンチケット、グッズ販売、来場者)は各チームがバラバラにおこなってきた歴史があります。
目下の課題は、新しい観客を増やすこと。ただ、これが難しいのです。主管であるJリーグが予算を投じて大々的なプロモーションをおこなおうにも、各チーム毎に顧客管理がバラバラになっているため、個人単位で効果が把握しにくい状況に陥っています。

こんな状況を打破するべく、Jリーグが去年の夏に始めたのがJリーグアプリ。チケッティングと来場管理、物販を統一IDでできる基盤として提供されています。Jリーグはこのアプリを推し進めています。

顧客IDを統一して管理することで、来場者や購入者のデータが集まる。そのデータを全クラブに開示していくので、クラブの営業担当者、マーケティング担当者が色々な施策に活用できるようにしたい。こうした想いで取り組みを始めたばかりの状況です。

一方、BリーグはJリーグに遅れること20年。一昨年にリーグが立ちあがりました。それまでバスケットのプロリーグは、BJリーグとJBLの二つに分裂しており、1つの国に2つのプロリーグがある状態でした。この状態に対して、国際バスケットボール連盟から「統一しないと、世界選手権やオリンピックに出場させなくしますよ」と脅されまして、元Jリーグチェアマンの川淵三郎さんの号令の下1つのリーグになった経緯があります。

そのBリーグが、一番最初に手をつけたのが何だったかというと、2つのリーグ、各チームでバラバラに存在していたチケッティング、グッズ販売、会員管理といった顧客データーベースを統一させたことなのだそうです。

新しいリーグが発足するわけで、目に見える形のプロモーションも重要だったと思うのですが、裏側にも力を入れていました。具体的には、それまで色々なチームがツールなどで管理していた自チームの顧客情報を一本化させた訳です。Bリーグで顧客管理の箱を用意するから、既存のチームはその中にデータを投入するように号令をかけて実践させたそうです。

話はそれますが、Bリーグの運営規模は、Jリーグの5分の1ほどです。Jリーグ、J1の年間売上トップは浦和レッズの66億円。30億円台がJ1の売上規模の平均となります。それに対してBリーグ、B1という最も高いリーグでも10億円を超えているチームは1つだけ、平均にすると6.4億円ほどなわけです。

Jリーグと比べると経営基盤も強くなく、新しいプロリーグということで、Bリーグが集客の効率化、費用対効果を推し進める必要があります。そうした時に、顧客情報が一本化していないのは非常に非効率だと。何の情報を提供したら誰が反応したか、誰が反応しなかったのかというのが分かるようなことを最初に戦略として取り込んだそうです。

若者を取り込め。Bリーグの取組

今、Bリーグがおこなっている取り組みの話もありました。

バスケの話になりますが、「バスケ好きですか?興味ありますか?」と調査で聞くと、年配になればなるほど興味を失う結果が出るそうなんです。中学高校時代に多くの方が一度は経験したこともあるためか20代は興味があるそうなのですが、30歳を超えるとガクンと興味が失われるそうです。こうした結果もありBリーグは、ターゲット戦略をほぼ若者に振っています。

若者向けと割り切ることで、タッチポイントもスマホを起点とした戦略を立てることができます。当然スマホが主要なタッチポイントになる訳ですからデジタルマーケティングとの親和性も高いのです。

さらに、突っ込んだ取り組みにトライしているようです。

三角形を描きます。母数は日本の人口なので、1億2千万人。アンケートで「バスケット。機会があったら見に行きたいですか?」という質問をすると、「行っても良い」と答える方は700万人くらいのようです。

通常であれば、この700万人に対してプロモーションを掛けようと考えてしまうのですが、Bリーグは顧客情報が統一化されていますから、さらに年間観戦者まで分かります。ユニークな観戦者数(年に1回以上アリーナへ行かれた方)は、30~50万人、各チームのシーズンチケットを買ったり、会員組織に入ったりしている人を合計すると、3~5万人だそうです。

初めて観戦した方にはグルインなどの深掘り調査も行っているそうで、最初の観戦は、ほぼ「誰かに誘われて」来場していることが分かっています。スポンサーや地域で配布しているチケットを貰っただけでは人は動きにくく、「じゃあ行こう」とエスコートをする人が現れることで、足を運ぶ人の割合が急に上がるということも分かってきたそうです。

こうしたことを受けて、今Bリーグがやろうとしていることは、この「誘う人」たちの分析に力を入れているそうです。「誘う人は」誰なのか。この人たちにどのような情報を渡すとどのような行動をするのか。誘う行動をしてもらうためには何の情報を渡してあげれば良いのか。この辺りを試行錯誤しながらトライしている段階だそうです。

その一環として、スマホを使って誘い/誘われやすくする仕掛けも導入しています。チケットも、紙のチケット以外にオンラインチケットを用意し、「誘う人」がLINEで「誘いた人」にチケットを簡単に送ることができる仕組みも導入しているようです。Jリーグやプロ野球でも単独のチームとして導入しているケースはありますが、Bリーグはリーグとして使える状態にあるそうです。

データを繋ぐことで

Bリーグは、スタートが遅れたことで、逆にリーグ発足のタイミングでデータを揃えられた恩恵を十二分に活かした戦略を展開しています。また、野球やサッカーと異なりまだ一般的でないがゆえに、若者に狙いを絞ったターゲティングを行っています。

テクノロジーの進化の前からビジネスをおこなっている会社さんほど、あらゆる場所にデータが存在してしまっているでしょう。一度に全てのデータを繋ぐためには膨大なコストがかかるかもしれません。

それでも、データを繋ぐことでより深い示唆が得られることも確かです。まず初めに、自社の顧客データがどのくらいの種類存在し、どこに点在しているかを、マーケティングの施策と合わせて整理してみると、意外に手をつけやすそうな箇所が見つかるかもしれません。

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