DXを進める上での 課題や留意点

マーケターのためのデジタル・トランスフォーメーション(DX)入門

DXを進める上での課題や留意点「デジタル・トランスフォーメーション入門」

今回はDX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進を念頭に置いたとき、浮上してくる課題や留意点について、考えていきましょう。DX推進へと向かいたくても向かえないのは、なぜでしょうか?

「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」は9回連載の予定です。記事公開のタイミングでお知らせメールをお送りしますので、ご希望の方はフォームより登録をお願いします。
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目次

DX推進を阻む4つの課題

連載第1回目でも触れた、経済産業省の『DXレポート ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開』によると、既存システムを熟知している人材の退職などにより、システムがブラックボックス化することが危惧(=「2025年の崖」)されています。こうした危機的な状況が差し迫っているにも関わらず、DXが遅々として進まない現場が少なくありません。

DXの推進を阻む課題が4点ある、と筆者は考えています。

DX推進を阻む4つの課題

経営陣のDXに対するコミットがないと、従来のあり方からの脱却は厳しいのです

まずは4点について解説します。

1.組織の硬直化

DXの推進は、特定の部署にとって最適なシステムを構築するだけでなく、企業全体に最適化されたシステムを構築することです。
構築には、部署や組織の垣根を越えた共同プロジェクトになりますが、従来の業務方法に必要以上に固執し、他の部署との共同作業を嫌がる「サイロ化した」組織には向いていません。
例えば、ある部署にとってDXによる全体最適より現行システムの方が都合がいい、と判断されると、該当部署が抵抗勢力化し、現行システムが残り続けがちです。

2.人材不足・人材のアンマッチ

数多くの企業は、多額のIT投資を行っていても、その多くが既存ビジネスの維持・運用に割り当てられています。長期的かつ戦略的な視点から、IT投資を行うところまでに至っていない現状があるのです。背景には、企業内部におけるIT関連の人的リソース不足や知識の乏しさが挙げられます。
つまり、全体デザインを考え、推進できる人材が圧倒的に不足しています。
従来型の企業は、テクノロジーがあまり必要ではないと考えられた部門 or テクノロジーに対する専門的な知識“だけ”を担当する部門で構成されているので、部門を横断して戦略的にテクノロジーを活用することが難しいのです。

3.ROI(費用対効果、投資対効果)

従来の部門・部署ごとの部分最適なシステムから企業全体の全体最適なシステムへ変容するDXは、一朝一夕には完了しません。DXのROIを考慮すると、長期間のプロジェクトとなるため、初期は投資効果が目に見えて現れない(=収益として返ってこない)期間が出てくる可能性が高いです。

4.経営陣

1〜3で挙げた、サイロ化した組織・人材不足・ROIの現状に対して、経営陣の危機意識の低さが最大の懸案です。企業が長年時間をかけて構築・改修してきたシステムは、業務との親和性が高く、短期的には現行のままが最適の可能性も高いです。全体最適に伴う組織や人材、ITシステムなどの再構築には、大きな抵抗も出てきます。抵抗を跳ね除ける覚悟をするくらいなら、現状のシステムに落ち着き、部分改修の継続を選択しがちです。

経営陣の意識改革が必須

DX推進を実現するには、4つの課題を乗り越えること。とりわけ、経営陣のDXに対するコミットが不可欠で、コミットなくして成功はありえません。すでに多くの市場では、AIや最新デジタル技術を使うなど、データを資産として活用した、新しいビジネスモデルに基づくスタートアップが次々に現れています。いわゆる破壊的イノベーション(※)を起こし、市場を大幅に変化させているわけです。
※破壊的イノベーションとは、アメリカのハーバード・ビジネススクール、クレイトン・M・クリステンセン教授が提唱。既存事業の秩序を破壊し、業界構造を劇的に変化させるイノベーションを指します

既存の企業は、気づかないうちに大きな波に飲み込まれていて、気づいたときには手遅れになってしまいます。

従来型とDX推進、それぞれの企業の今後をマーケットシェア(縦軸)と時間(横軸)でまとめたイメージした図

従来型とDX推進、それぞれの企業の今後をイメージして、マーケットシェア(縦軸)と時間(横軸)でまとめました

DX推進には、経営陣自らが自社の問題点やリスクを洗い出し、DXのビジョンやストラテジーを掲げられるかどうかです。それをもとに、自社のDXにおけるガイドラインを策定し、関係者のコンセンサスを取っていきます。

“Small Start, Fail First”のススメ

実際のDX推進で重要なことは、「Small Start, Fail First(スモールスタート、フェイルファースト)」です。

スモールスタートとは、言葉の通り「小さく始める」ことです。いきなり大規模なシステムの変容を求めず、最初の一歩はDXの対象となるシステムを絞り、小さい規模で始め、それを成功させます。試行錯誤を繰り返し、DXに対する知識・技術・ノウハウが徐々に社内に積み上がっていきます。

フェイルファーストとは、「素早く実行し、失敗して、失敗から学ぶ」ことです。DX推進=失敗せず100%うまくいく、ではありません。何らかの失敗は出てくるものです。失敗の可能性をつぶして、計画を完璧にしてから実行しようとはしないでください。失敗することを前提に、実行できる最小の計画を策定し、アジャイルに近いやり方でどんどん実行することを優先しましょう。

DXを推進しなければならないという危機意識を共有できることが、大きな原動力になります。そのためにも、最初の一歩として冒頭でご紹介した「DXレポート」を読んでみてください。


野澤 智朝(のざわ ともお)
現役マーケター。「ニテンイチリュウ」運営者。デジタルクリエイティブ、デジタルマーケティングに関するメディアで連載を担当してきたほか、各種記事の寄稿多数。


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