38人のマーケティング担当者のアンケートからみえてくる「マーケティング施策の変化」
今月の宣伝会議2018年9月号の特集をご存知ですか?「日々変わる社会 現代・ブランド戦略」です。
特集では、38人のヒット商品のマーケターに重要な施策や注力している施策などをアンケートしています。各記事では、各商品ごとに取り組んでいる施策などを聞いて、テキストで表記されているだけなので、全体的な傾向を一目で見ることはできません。しかし、38人分すべてを読んでみると広告施策を重要だと考えている企業が少ないことに感覚的に気づきます。
そこで、マーケの強化書編集部では今回宣伝会議でアンケートされた内容をグラフ化してみることにしました。グラフ化することで、現代のトップ商品のマーケティング戦略の傾向が見えてくると考えました。
今回集計したのは「特に注力している施策」と「特に必要・重要なマーケティング手法」の2つです。どのような結果になったのか?下記のグラフをご覧ください。
2つのグラフの上位2位を見ると、やはりマス広告・Web広告など「広告」という文字はもはや存在していませんでした。これまで言われてきた通り、広告に対して大きな効果改善が期待されていないことが伺えます。そして、1位2位にある施策で注目すべきは「オウンドメディアの活用など広告以外のコミュニケーション活動」と「SNS」です。これまでも取り組んできた施策ではありますが、2位以内に入るほど重要視されてこなかった施策です。マス広告・Web広告への注力ではなく、SNS・オウンドメディアなど広告以外の施策に注力及び重要視してきている状況が明確に伺えました。
この傾向は、日々マーケティング活動を支援している当社の感覚でも非常に近いものがあります。当社に相談されてくるお客様の中には、広告を徹底的に活用されてきた企業が多くいらっしゃいます。どの媒体からどれだけ流入して、どれだけCVするのかなど詳細に管理しているお客様です。しかし、近年顧客が広告自体を見なくなってきている、そもそものリーチできる人数が落ちていることがデータでも明確に出てきているとおっしゃる企業が多くあります。
お客様がおっしゃるには、「現時点では広告自体は大きな利益をもたらしているものの、時代の流れ的に見てもいずれこのモデルが崩れることが明白。」だそうです。それが今多くのマーケターに見えている光景なのだと思います。多くの企業が、今からSNSやコンテンツマーケティングに取り組み始めているのも将来広告がもっと効果的でなくなる可能性があるからこそなのです。実際に全てのマーケティングデータを見ることが出来るマーケターにとってこれら現象を示す数字は大きな方針転換を促すのに十分だったのでしょう。
そのような中で、もう一つ注目すべき点としては、「ファン向け施策」にも注力し始めている企業があることです。これまでなら、申し訳程度に行われてきた施策だったかもしれませんが、今後はさらに重要な施策として位置づけられていくのではないかと思います。新規顧客を獲得することの難しさを感じ、既存顧客から売上を上げようとしている企業も増えてくるでしょう。
このような傾向もあり、当社にもコンテンツマーケティングのご相談を頂く機会が非常に多くなってきました。しかし、コンテンツマーケティングはご存知の通り、成果が出るまでに多くの時間が必要な施策です。今の施策が行き詰まってからコンテンツマーケティングに取り組んでも成果が出るのはずっと先だと思っておいた方がよいでしょう。これからさらに多くの企業がコンテンツマーケティングに取り組むことを考えると、始めるのが遅ければ遅い程、競争は激しさを増していきます。
未来を見据え、今からすべきことをするようにしていきましょう。