あなたもHubSpotマスター!(4)HubSpotを使いこなす~ワークフロー編~
『あなたもHubSpotマスター?!』と題して、ウェビナーを実例にHubSpotを運用するための知見を複数回に渡ってお届けしている4回目。フォーム・メールに続き、ワークフロー編です。
オンラインセミナーを実施しない企業もマーケティングオートメーションの実践的な使い方のヒントになるかもしれません。
HubSpotではマーケティングオートメーションの根幹的な機能であるシナリオ設定をワークフローと呼んでいます。
※HubSpotのインターフェイスデザインの変更に伴い2024年5月に一部画像を差替対応済み※
HubSpotでシナリオ、ワークフローを組もう
前回、セミナーに申し込んでくれた方に自動返信用のメールを作成しました。
今回は、この自動返信用メールを実際に自動でフォームで申し込んだ人にメールを送れるように設定してみましょう。
HubSpotのワークフロー作成の流れとしては、
- 自動化したい、実施したいフローを検討する
(今回は、フォーム申込み後にフォーム入力者に自動返信メールを送るフロー) - ワークフローに必要なクリエイティブを準備する
(例えば、メール・リスト・プロパティ・CTA等) - HubSpotで[自動化]→[ワークフロー]→[ワークフローを作成]→[ゼロから作成]
- トリガーとアクションを設定
- 有効にする前に確認する
- 作ったワークフローを有効にする
- ワークフローのテスト後、本格運用へ
となります。では、作成画面のイメージを一緒にみていきましょう。
[ワークフローを作成]のボタンを押すと2つ選ぶことができます。
[ゼロから作成]と[テンプレートから]の2つです。作るワークフローのイメージがある場合は[ゼロから作成]で問題がありません。
時々[テンプレートから]を選んで自分のアイディア以外のワークフローを見てみるのも良いかもしれませんね。
ワークフローの設定画面ですぐにワークフローが組める方は、もうHubSpotにも慣れていらっしゃる方だと思います。
ワークフローを組み始める前に、どんなトリガーがあるのか?どんなアクションがあるのか?を確認して下さい。部品がないと組み立てられないように、組み立てたいもの(作りたいワークフロー)と作るための部品(トリガーとアクション)を知っておく必要があります。
フォームに申し込んだ人に自動返信メールを送るだけのワークフローであれば
[トリガー]フォーム申込
[アクション]Eメール送信
となり下記のようなワークフローになります。
★ポイント★
フォームを作成する際に自動返信メールも一緒に作成出来る、ワークフローを組む必要のないツールもあります。(HubSpotではフォローアップEメールがそれに該当)しかしマーケティング・オートメーション(以下MA)の醍醐味は、シナリオ設計にあるのではないでしょうか?
実際にHubSpotのワークフローで設定をする前に、シナリオからHubSpotのフローを検討し、必要なクリエイティブの準備が重要だと考えます。
漠然とワークフローを組み始めると、思ったように進まず時間ばかりがかかる、ワークフローが思ったような動きをしなくて悩む、なんてことも多々あります。
ウェビナー申込み者をZoomに登録するワークフローとは?
自動返信メールを送るワークフローでは、[トリガー]と[アクション]が1つずつのシンプルなものでした。
ウェビナー申込者をZoomに登録するワークフローは、どのように考えるべきでしょうか?
同じ動きをするワークフローでも、順番が異なったり、複数のワークフローを使用したり、多種類のフォームを1つのワークフローで制御したり、と色々と組めます。組み合わせが自由なので、これから紹介するワークフローも一例に過ぎません。
[トリガー]フォーム申込み
[アクション]静的リスト追加
[アクション]ZoomWebinarにコンタクトを追加
[アクション]遅延
[アクション]Eメールを送信
この中でZoomWebinarにコンタクトを追加するアクションが、ウェビナー申込者をZoomに登録する部分、フォームに申込に対して送る自動返信メールとは別にワークフローを作成することも可能です。その場合は下記のようになります。
[トリガー]リストにいる人
[アクション]ZoomWebinarにコンタクトを追加
ウェビナー参加者を抽選で決める、競合他社はウェビナーに参加させない場合は、メールを送るワークフローとZoomに登録するワークフローを別に作成することになるでしょう。
ZoomWebinarにコンタクトを追加するアクションでは、ZoomWebinarのNoが必要となります。
★ポイント★
シナリオ設計、ワークフローをHubSpotで組むまでが計画段階、実際にワークフローが思い描いた通りに動くか?が実行段階でのポイントです。
いくつものワークフローを作成している私自身でさえ『あれ?思った通りに動かない!!?』そんなワークフローを作ることもあります(机上では正しいフローだとしても…)。データが取れていれば後で対応することも可能ですが、その瞬間、その時に動かないと意味がないワークフローが失敗するのは怖いものです。
まずは、『シンプルにワークフローを作る』『思い通りに動いているワークフローを活用する』その2点から出発することをおすすめします。
より良いシナリオ・良いワークフローを考えるために
ワークフローの良し悪しを決めるのは何でしょうか?ワークフローはコミュニケーションシナリオを支えるMAでなくてはならない存在です。
以下の3つの視点で検討をしてみましょう。
- 顧客視点:コンタクトファースト
- 運用視点:分かりやすく無理のない運用
- 時間視点:メンテナンス
コンタクトファースト
ワークフローを考えるとき、誰のためにそのワークフローを作っているのか?と言えばコンタクト、顧客だと思います。もちろん社内業務のためにワークフローを組むこともあります。
例えば、ワークフロー上でメールを2通送る場合に『1通にまとめることは出来ないか?』『1通にまとめてしまうことにより、メール受信者が困ることはないか?』とコンタクトの身になって考えることが必要なのです。
もともとシナリオ設計していた時には、顧客心理を考え、顧客側に立って設計されていたものが、実装される段階で、運用者側の理屈だけで作り変えられしまっては意味がなくなってしまいます。
また、コンタクトファーストを実現するためにも、コンタクト情報と実際の顧客をCookieで紐付けることを、第一義に考えてみて下さい。
『自社の優良顧客だからサイト訪問のページによって出し分けをして、別々のキャンペーン施策に・・・』と考えていても、Cookieが紐付いていない優良顧客は、他の来訪者と同じシナリオ上にのっている可能性も高くなります。
分かりやすく無理のない運用
多機能で汎用性のあるMAでも時として出来ないこともあります。もちろん複雑なワークフローを考えて、簡単に出来ないと思っていたことを実装することも可能です。しかし、複雑なワークフローを組む前に立ち止まって考えて欲しいことがあります。
- ワークフローの命名やフォームやリストとの関係性は分かりやすいか?
- 複雑さがゆえに属人化してしまう作業がないか?
- 複雑なワークフローが、数年後も自分の部署内で使われているか?
無理に複雑なワークフローを作って、その時は思い描いた自動化を成し遂げたとしても、サイトや担当者が変わっただけで使えなくなるようなことになればマーケティング資産も増えていきません。
HubSpotのなかでもワークフローは複雑になればなるほど、メールやフォームのように一度で理解出来る部分は減っていきます。
ワークフロー内にメモ書きを残すようなことは出来ませんので、チーム内での共有、作ったワークフローの覚書を残す等、運用面でも工夫していきましょう。
メンテナンス
ツールは日々進化します。
ユーザーインターフェースの変更、機能の追加と、数年マーケティング部署を離れて戻って来たら使っていたツールが使いこなせないなんてことも起こるでしょう。過去の機能やシナリオは新しいバージョンでも使えることは多いのですが、新しい機能でシンプルに設計する、動いているワークフローも時折見直してメンテナンスしていくことが重要です。
例えば、ワークフロー組んで細かく分類していたセグメントが、動的リスト(スマートリスト)の設定で簡単にリスト化出来るようになったから、ワークフローを修正する。
例えば、公開していないフォーム、有効化されたままな使われていないワークフローを削除する。
フォームやワークフロー、リストも運用をすればするほど増えていくものです。日々のメンテナンスはもちろんですが、年に一度位は、過去に設計したワークフローが今も必要か、メンテナンスをしていきましょう。
★ポイント★
実は弊社にも複雑なワークフローを組める先輩がいらっしゃいました。そのワークフローの設計書を拝見したこともありますし、一緒にワークフローを考えたこともあります。
しかしながら、MA以外のツールや業務でも言えることですが、属人化してしまった社内テクノロジーはその人の異動や退社により、失われてしまうことも多々あります。
分かりやすく、メンテナンスがしやすく、無理がない。
マーケティング部署で自社内で理解と共有されるワークフローの作成を目指しましょう。無論、自戒の意味を込めて、私も頑張ります。
次回は、HubSpotのフォームでアンケートを作成する方法をお伝えします。
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