数字に強いマーケターになろう!【感度、特異度】
あなたの『数字への強さ』を強化していくシリーズ。実際に公開されている数値等を使ってお話してきましたが、今回は【感度・特異度】についてです。少しマーケティングの話題とは離れてしまいますが、一緒に数字に強くなるために学んでみましょう。
検査の精度に関して、感度と特異度とは
大流行している新型コロナウイルス。報道の中で気になるキーワードをよく耳にします。偽陽性と偽陰性です。
ある病気の検査結果をその病気に罹患している方(=患者さんとします)、病気に羅漢していない方(=健康な人とします)に分けて、と2×2のクロス集計表にするとこうなります。
検査の精度が高ければ高いほど、実際は病気になっているのに陰性とされてしまう方(上記表のc)と、実際は病気でなく健康にもかかわらず検査で陽性が出てしまう方(上記表のb)は限りなく0名に近づきます。
しかしながら、検査精度が絶対に100%となることは難しいのも事実です。特に現在、最新の注意を払いながら様々な人々が、病気に防疫に戦っている新型ウイルスとなれば、なおのことです。
また、健康な人や症状の出ていない患者さんを含めたサンプル全数に検査を行うことが不可能なのは、国勢調査の規模でマーケティングリサーチを行わないことを知っているマーケターのあなたなら言うまでもないでしょうか。
上記の2×2表の各セルには、それぞれ名前がついています。
健康で病気に罹患していないのに検査で陽性と出てしまう人(=偽陽性)、病気に罹患しているのに検査で陰性と出てしまう人(=偽陰性)が問題となってくるのですが、統計学をかじったことのある方なら耳にしたことのある『第一種の過誤』、『第二種の過誤』です。
今回のケースにあてはめると
・第一種の過誤・・・健康な人に、検査で陽性の判定を下してしまう誤り
・第二種の過誤・・・罹患している人に、検査で陰性の判定を下してしまう誤り
この第一種、第二種の過誤には色々な名称があり、第一種の過誤(第一種の誤り、α過誤、あわてものの誤り)、第二種の過誤(第二種の誤り、β過誤、ぼんやりものの誤り)とも呼ばれます。
病気の検査や、製品の品質管理の場面でも出てきますが、マーケティングに関わる私達には、仮説検定を行う時に耳にすることもありますよね。もっと別の例でしたら、刑事訴訟で無罪を有罪とする誤り、有罪を無罪とする誤りなど、意外に身近なところでも使える考え方です。
それでは、今回のとりあげた感度と特異度についてです。
・感度:a/(a+c)
実際にその病気に罹患している人の中で、検査で陽性になった人の割合のこと。
・特異度:d/(b+d)
その病気に罹患していない人の中で、検査で陰性になった人の割合のこと。
いかがでしょうか?新型コロナウイルスのPCR検査の話題で感度・特異度と聞いてしまうと、何か難しい言葉のように感じましたが、概念としてはそこまで難しくはないことを理解していただけたでしょうか?
日々、都内の最新感染動向の数値も変わっています。パンデミック、オーバーシュート、ロックダウンと耳慣れない恐怖心を掻き立てる言葉も耳にします。マーケターとして防疫の最前線に立ち向かうことはありませんが、我々もつねに希望を捨てず、きちんと数値を向き合いながら今いる自分の立場で出来ることを粛々と行っていきましょう!