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ノンデザイナーの本音。なぜ勉強したのに……うまく作れない真相

ビジネスパーソンが、必要に応じて自ら手を動かし、バナーデザインやアイキャッチ素材などを作る機会について考えてみましょう。「なかなか思い通りにうまくできない……」が、本音ではないでしょうか? 今回は再び、『思わずクリックしたくなるバナーデザインのきほん』の著者であり、ディレクター兼デザイナーとして活躍するkanvas株式会社の代表取締役、カトウヒカルさんへインタビュー。

デザインや作り方の基本を学んでも、結局うまく作れていないと感じる人に、クリエイティブとの向き合い方について話をうかがいました。

目次

カトウヒカルさんが伝える【デザインがもっと上手になるポイント】
・文字を図形として見る意識を持とう。文字の見え方や配置の美しさにも注目。
・横書きより縦書きの方が扱いづらいことを知っておこう。
・テキスト情報は伝えたいメッセージが含まれているかが重要。アルファベットに気を取られないで。
・デザイン力の向上には実践するのみ。実践を積むことで脳の使い方が変わる。
・自分で太刀打ちできるのか。目的と要求される完成度に応じてプロに頼る道は残そう。

学べば「できる」のか?

田代

田代

ちょうど1年前(2022年)ですね。カトウさんにインタビューさせてもらったのは。カトウさんが執筆された『思わずクリックしたくなるバナーデザインのきほん』のエッセンスを中心にインタビューをしました。おかげさまで、ノンデザイナーが多い「マーケの強化書」ユーザーに向けて、デザインの基本事項や制作のコツなどをうかがうことができました。

カトウヒカル氏

カトウ


早いですね。あの折はありがとうございました!

田代

田代

当時のインタビューから多くの助言や示唆をいただいて、「1年経って、どれほどうまく作れるようになったのか?」について、カトウさんと一緒に話ができればなと思いました。こうした記事を読んだり、書籍で学んだりする中で、「学べば、本当にうまくなるの?」と疑問を抱いているユーザー(読者)も多いだろうと思ったからです。

例えば、「マーケの強化書」編集部のことで言うと、アイキャッチ用の画像を自分たちで作っています。カトウさんにはこの1年で作ってきた素材なども時折見てもらいながら、学びと実務が本当に結びつくのかについて、率直なご意見をうかがえたらと思っています。

ちなみに、「マーケの強化書」のアイキャッチでは、WebサイトをWordPress(ワードプレス)で運用しているため、アイキャッチ画像の文字要素を中央に寄せていないとスマートフォンで表示した際に文字が切れてしまうという前提があります。デザイン上の制約ですね。

マーケの強化書 アイキャッチ規定
田代

田代


制作を担当しているメンバーに事前にヒアリングをしたところ、「何をしたらいいのか」についての引き出しが増えて、一定ラインに到達しているクリエイティブも(自分の評価ながら)「以前より作れてきたのでは?」と言っていました。

一方で、「毎回うまくできているわけではない」とも吐露していました。例えば、以下は構成を考え始めた段階のサンプルです、情報として載せたいテキスト要素を並べることはできても、「この先どうしたら良いのかな?」と迷うことが結構あるそうです。

要素を置くだけになってしまった状態の一例です
カトウヒカル氏

カトウ


なるほど。たしかに、戸惑いの跡が感じられますね。

田代

田代

その後、重要なテキスト情報を引き立たせつつ、補足情報は吹き出しにする。吹き出しの大きさや見せ方もメリハリがつくように改善してみました。実際に公開したのは下記のアイキャッチです。

作り直して、できたものの例です

「要素を置いただけ」になってしまう

田代

田代

まずは1つのケースを見ていただきましたが、どう思われますか? 最初に出てくる案で迷いが生じてしまい手が止まってしまった際に良いアドバイスができないものかと思案しています。この手の悩みはノンデザイナーさんだとあるあるのような気がしていまして。

カトウヒカル氏

カトウ

確かにおっしゃる通りですね。先のケースで言えば、作り直したものであれば、グラフィックという成果物を意識して作られているな、と伝わってくる水準だとは思います。

それに比べると最初のサンプルは、要素を置いただけになっている印象を強く受けます。もちろん構成として考えてデザイン段階ではないのかもしれませんが。

田代

田代

置いただけの状態をよりグラフィックにしていく際のヒントと言いますか、アドバイスを言うならどんなことが挙げられるでしょうか。もしかすると、そもそも頭の中でちゃんと理解できていなかったのかも……という懸念も出てくるかもしれませんし、頭では理解できていても、いざ実践となると、白のキャンバスにテキスト素材を載せただけとなり、「うまくできずに固まってしまった」なんて人も多くいらっしゃるように思います。

カトウヒカル氏

カトウ

ちょっとストレートに言ってしまいますが(笑)、必要な原稿をテキストデータで用意して、コピー&ペーストした先から進められないのは、学んできたことと実務がつながっていないからに尽きますね。なので、結果的に要素を置いただけに見えてしまうのです。普段からデザイン業務をしている人であればまだしも、ノンデザイナーさんのケースですから、何を意識すれば良いかのヒントを少しでも伝えられると変わるかもしれません。

文字を「形」として捉えてみる

カトウヒカル氏

カトウ

あるあるな話ですが、“要素を置いただけになっているな”という人は、当然、自分の中でもしっくりきていません。そこで、“何とかしなければ”と装飾に走ってしまうんですよね。要素であるテキストデータに対して、何がどう重要かの整理を後回しにして、太字にしたり華美なオブジェクトや背景を用いて、画像内をにぎやかにしがちです。

気持ちはとてもよくわかりますが、コレは避けてほしいです。装飾は後に回してまずやるべきことがあります。

田代

田代


たしかに、迷いを装飾でカバー、装飾でごまかすというのは自分でも耳が痛いです(笑)。では、この段階で悩む方はどうするといいでしょうか?

カトウヒカル氏

カトウ

自分のことに置き換えると、企画や原稿を考える脳と、デザインに取り組む脳の使い方が、それぞれ違うと感じています。その違いを意識してほしいなという点ですね。もう少し具体的にお話をすると、デザインの作業をする際には、文字を文章として見ないようにしてみる。つまり、文字を図形として捉えてみてください。そして、図形(文字)としての美しさを強調する意識で配置するのです。

この意識を持てると、文字列を見ていくうちに「この文字は格好いいな」「ここの並びは、見映えするな」といった気づきが出てきます。テキストに込められている意味の理解は大事ですが、見た目をよくする思考にも切り替えて臨んでほしいです。

この2つをごちゃまぜにしないで、分離して考えるのは大事なポイントです。

田代

田代


なるほど。「文字を図形として見る」は、わかりやすいですね。

カトウヒカル氏

カトウ

僕の場合、「キャンペーン」という文字が来ると、「嫌な言葉があるな」と思ったものです(苦笑)。「キャンペーン」という文字には、長音もありますし、促音(小さなヤ)も入っていますので、縦に組みづらい上に、横に組んでも収まりが不安定になってしまうのす。「50%OFF」みたいな文字列の方が組みやすいわけです。

仕上がりへの割り切りが必要な場合も

田代

田代


「文字を図形として見る」の他に、日頃手を動かしているわけでない人たちが気をつけておきたいことは何でしょうか。

カトウヒカル氏

カトウ


一般論として、縦書きを格好よく組むのはとても難しいです。縦書き厳禁の意味で言っていませんが、あらかじめ難しいことは知っておいてほしいと思います。

田代

田代


なるほど、適切な配置となると横組みよりハードルが上がってくるわけですね。過去の試案の中にもありますが、しっくり来ずにお蔵入りしていました。

編集部より、縦書きやアルファベットを組み込んだ試案例です
カトウヒカル氏

カトウ

後は、日本語より英単語、アルファベットだと、字の形として見ると格好よく見えますよね。上のサンプルからも、そこを意識した形跡が感じられます。そのこと自体は悪いことではありません。

ただ、字体としてのアルファベットに気を取られてしまうと、本末転倒です。肝心の訴求要素が日本語のテキストにあるなら、アルファベットの配置に気を取られてしまった分、言いたいことが伝わらなくなってしまいます。

田代

田代


良かれと思っての工夫が、実はデザインとして適切でないということは、慣れない作り手ほどありえることです。

カトウヒカル氏

カトウ

はい。今回のインタビューは、日ごろの編集部のあるある話ではなく、実はデザインに取り組む上での本質を問われている、と感じました。これを突き詰めていくと、「そこまで求めるなら、プロフェッショナルにお願いした方がいいのでは?」となります。最終的には作りたい側が、どのような目的で、どれほどの品質を求めるかになってくることも押さえておきたいです。

田代

田代


目的によって、作る側に求められる水準が変わってきますよね。そのあたりを制作する側の中で同意を取っておくと良さそうです。

カトウヒカル氏

カトウ

もしプロのデザイナーに対してとなると、仕上がりにいかに説得力があるか? 例えば、見た目が美しく、広告としても機能している状態をゴールとするなら、その水準に達していない限り、差し戻しになります。

田代

田代

「マーケの強化書」サイトのアイキャッチで言うと、仕上がりが素晴らしいに越したことはないけれど、世の中に出すレベルとしてクリアできていればOK、となります。社内対応でできる現実的なラインがどこか、を考えています。

カトウヒカル氏

カトウ

ビジネスパーソンができる範囲での仕上がりに、デザイナーレベルを求めるのは難しいわけです。どのラインを及第点としてOKとするか? ここで言うなら、作り直しでできたサンプルのような仕上がりをOKとするなら社内対応で完結する形で十分ですし、その仕上がりでは満足できないなら、社内対応で突き詰めるよりも「外部のプロフェッショナルの力を頼るべきでは?」という水準だと思います

次回は・・・

引き続き、ノンデザイナー(ビジネスパーソン)がクリエイティブを作る上で、学んだはずの基本を実務に活かせるための方法、さらに一歩先へと進めるためのコツをうかがいます。カトウヒカルさんからは、デザインサンプルを用いた「模写」の話が展開されます。


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株式会社ジェネシスコミュニケーション

ジェネシスのマーケティングプロフェッショナルが編集を担当。独自の視点で厳選した実践的ナレッジをお届けいたします。

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