成果を出すマーケティングツール~導入から運用まで、意外な場所に潜む落とし穴について~ 第2回
コロナ禍もありDXがますます声高に叫ばれています。ECでの買い物や電子契約、請求書も当たり前になる昨今、比較的デジタル化が進んでいると言われるマーケティングの分野でも、マーケティングツールの導入や導入後の運用で困っているという声もよく耳にします。
前回はマーケティングテクノロジー・マーケティングツールの全体像について簡単に説明しました。そこで今回は、実際にマーケティングツールを用いて成果を出すためにも、多くの企業が直面する落とし穴について整理してお伝えしたいと思います。
[初公開:2017.05.10] 情報を追加し再編集してお届けしております。
- 目次
- はじめに:マーケティングテクノロジーの現在地点 ▼▼この記事はココ▼▼
- その1 :マーケティングツールとは何か
- その2 :マーケティングツールを導入する際に考えなければいけないこと
- その3 :マーケティングツール導入に必要な費用は?
その1:マーケティングツール(MAやWeb接客ツール等)とは何か
様々な種類のマーケティングツールが世の中に存在しますが、インターネット広告領域を除けば、マーケティングオートメーション(以下MA)とWeb接客ツールは2大ツールと呼べるでしょう。
MAは、マーケティング活動におけるプロセスを自動化するソリューションで、主に電子メールを用いることにより、サイトに来ていないユーザーに対してコミュニケーションを取ることが可能となるツールです。一方、Web接客ツールは、Webサイト上におけるサイト来訪者とのコミュニケーションに特化したツールです。EC領域に限ると「かご落ち対策ツール」のような呼び方をします。
少しツールの話から離れますが、マーケティング活動全般を大きく分けると、「アクイジション(顧客獲得)」と「リテンション(顧客維持)」とに二分できます。
アクイジション領域では、見込客をつかまえ新規顧客に育てる領域です。場所・方法としてはWebやメール、電話、ソーシャルメディア。ホワイトペーパーに展示会など多種多様です。リテンション領域では、電話やメールが一般的でしょうか、コストに余裕がある企業ではLINEを使うケースもありますね。
現在、比較するのも大変なくらい多くのマーケティングツールが溢れているのは、各社それぞれの開発思想でなんらかの差別化を図っており、強みとなる機能が異なるからです。アクイジションに重きをおいたツールもあれば、リテンションを中心に考えられたツールもあります。システムとの連携を前提としていないツールもあれば、システム連携を容易にすることに主眼をおいたツールもあるわけです。
とはいえ、どのツールでも共通して提供されている機能もあります。具体的には、
・コミュニケーションする相手を定める機能(セグメントやリード管理など)
・コミュニケーション(話しかける)のための機能(コンテンツの出し分けやポップアップ、メール・SMS・LINEなどへの配信)
・コミュニケーション(聞く)のための機能(フォーム、チャットなど)
・それらを管理する機能(キャンペーン管理・スコアリングなど)
とに分けることができます。
その2:マーケティングツールを導入する際に考えなければいけないこと
今回の記事では、各種ツールにおける機能比較/費用比較は行いません。複数のマーケティングツールを比較した情報をお知りになりたい方は、Yahoo!やGoogleで【マーケティングツール 比較】などで検索すれば、ツールを比較した一覧表などのコンテンツを探すことができますので、そちらをお読みいただければと思います。
『ツール以外で必要になること』といった視点で書かれた記事はそれほど多くありません。
お話ししたいことは、マーケティングツールを導入する際、ツールの機能以外で考えておくべき点であり、もし検討から漏れていた場合には、導入後に右往左往してしまうようなことです。
事前検討を怠った結果、社内に必要なスキルセットがなければ、外注=費用をかけてカバーすることになってしまいます。
よく「ツールを導入したもののあまりうまくいっていない」「いったん解約してしまった」といった話を聞く機会があるのですが、それは、ツール以外の部分が落とし穴になっていたことが多いようです。
マーケティングツールに限らず、リスティング広告やリターゲティング広告でも、導入してすぐに成果が出るのは極めて稀です。通常は、試行錯誤を繰り返して、すこしずつ数字を改善していくわけです。結局、ツール自体が成果を保証してくれるわけではなく、ツールを運用する体制や能力など、ツール以外の部分が成果を出す決め手になるのです。
先ほどの図版で言えば、今自社でやりたいことがどちらの領域に近いのか。自社の見込み客や顧客はどのコミュニケーション手法でのやり取りを望んでいるのかでツールの選定も大きく異なってくるわけです。
もちろん、すべてを社内で無理に回そうとする必要はなく、外部スタッフを上手く使いながら進めていきたいものです。
次回は・・・
次回の『成果を出すマーケティングツール 第3回』では、ツール導入に必要な項目について「費用」として整理し解説していきます。どうぞお見逃しなく!