【セミナーレポート】ユーザーシナリオから考える!Webリニューアルを成功させる方法~参考書には書いていない、構築現場視点で見るサイトリニューアルのポイント~
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社、および株式会社ジゾンとジェネシスコミュニケーションの3社共催セミナー<ユーザーシナリオから考える!Webリニューアルを成功させる方法 ~参考書には書いていない、構築現場視点で見るサイトリニューアルのポイント~ >を2017年8月25日に開催いたしました。
当記事では、各社のセッション概要をお伝えします。
■Webサイトリニューアルに活かそう!UXデザイン~実践から学んだUXデザイン活用方法~(NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社)
■サイトリニューアル時に考えるべき、“使える”DMPを開発するポイント(株式会社ジェネシスコミュニケーション)
■(秘)6個のやるべきWEBマーケティング施策を一挙公開。顧客経験管理(CXM)をうまく使うコツを伝授(株式会社ジゾン)
- NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社
Webサイトリニューアルに活かそう!UXデザイン~実践から学んだUXデザイン活用方法~
上森氏はまず、最近関心が高まっているUXとCXの違いを以下のように説明した。
・UX:ユーザーエクスペリエンスの略で、ユーザー体験。単一サービスが対象
・CX:カスタマーエクスペリエンスの略で、顧客体験。複数のサービスが対象
そして、UXとCXの違いについて、UXは基本的に利用前、利用中のプロセスが対象となるのに対し、CXは利用前、利用中に加えて利用後のプロセスも対象となり、購入者からのお問い合わせ等も含まれると語った。
次に、Webサイトを通じて顧客満足向上を達成できるためには、Jesse James Garrettが提唱する「ユーザーエクスペリエンス実現のための5PlanesModel」の枠組みを活用するのが有効であるとし、この枠組みの根底にある「人間中心設計(Human Centered Design)」の重要性を説いた。
さらに、この人間中心設計の4工程に、クライアントファーストの視点で加味した全8工程について1工程ずつ取り組みのポイントを事例をまじえて解説。また、サイトリニューアルにおいては、OGSMフレームワーク(プロジェクトを「目的」「ゴール」「戦略」「評価」の4つの枠組みで考えるマーケティングフレームワーク)基づきKGI/KPI設定やカスタマージャーニーマップの作成、妥当性の検証を行うことを提案した。
最後に上森氏は、人間中心設計のポイントをまとめつつ、各工程ごとの成果に妥当性が欠けていると判断される場合には、適切なところまで前プロセスに立ち戻ることの大切さを強調してセッションを終えた。
- 株式会社ジェネシスコミュニケーション
サイトリニューアル時に考えるべき、“使える”DMPを開発するポイント
松尾はセッション冒頭にて、自社クライアントが抱えるDMP開発における主な課題・問題(悩みごと)を紹介した。その上で、DMP(データマネジメントプラットフォーム)とは、データドリブンマーケティングの基盤であり、カスタマーエンゲージメントの向上を目的とする「統合顧客データベース」だと端的に説明した。
さらに、DMPには大きく2種類あり、「プライベートDMP」は、個人情報を含む、自社が社内に立ち上げるデータベース、一方、「パブリックDMP」は、基本的に個人情報を含まない、CoockieデータをIDとする各種サイト訪問履歴や広告反応履歴等を格納したデータベースであると解説したのち、具体例としていくつかのプライベートDMPやパブリックDMPの内容を紹介していった。
松尾は、DMPは単にデータを蓄積し、分析するだけではなく、「活用(ACTION)」することが最も重要であると指摘。DMP活用によって、企業は「One-to-Oneコミュニケーション」を実践し、結果として、顧客のメールクリックなど「レスポンス」を向上させ、カスタマーエンゲージメントを高めるといった成果が期待できると述べた。
ただし、DMPを「活用(ACTION)」に結びつけるためには、各種ツールとの連携が必要となることを説明し、例えばWebサイトのパーソナライズを実現するには、3番目のセッションで紹介されるジゾン社の「HeartCore」との連携が有効と説明。さらに、「HeartCore」にはプライベートDMPが内蔵されていることを補足した。
松尾は、DMPに格納されたデータを活用できるためには、データ分析を踏まえて「分析モデル」を開発する必要があることをフィットネスクラブの例を挙げながら説明した。例えば、過去の退会者データを分析して、会員が退会に至るまでの要因やきっかけを導き出して「退会予測モデル」を開発すれば、最近利用頻度が低下してきた会員が退会する時期や確率を予測して、退会を未然に防止するためのアクション(なんらかのクーポン付きDMや、担当インストラクターからの電話などの施策展開)が可能になると説明した。
最後に、松尾は、
- ・DMPの有効活用のためには「分析モデル」開発が不可欠
- ・どんな分析モデルを開発するか・したいかによって、必要なデータが決まる
- ・開発すべき「分析モデル」は、コミュニケーション施策によって決まる
と今回のセッションのポイントを振り返り、『コミュニケーション施策の企画・設計を起点として、DMPを設計・開発しよう』と述べてセッションを終えた。
- 株式会社ジゾン
(秘)6個のやるべきWEBマーケティング施策を一挙公開。顧客経験管理(CXM)をうまく使うコツを伝授
神野氏は最初に、スマートフォンによるサイト閲覧が主流になってきているという消費者行動変化の現状に触れ、Webサイトも顧客別にきめ細かに出し分けなければコンテンツを見てもらえない時代になっていることを指摘。
したがって、Webサイトは商品を羅列しただけの「カタログ」ではなく、顧客に応じて提示方法を最適化する「マーケティングツール」であるべきと力説した。
神野氏は上述の環境変化に対応するため、取り組むべき6個のWEBマーケティング施策についてそれぞれ簡単に説明した。
- 1.コンポーネント
- 最小単位のコンテンツをエレメント(要素)として分割、それをまとめあげたコンポーネントを組み合わせてWebページを表示する。こうすることで、ページ単位ではなく、ページ内のエレメント単位でのコンテンツ出しわけが可能になる。
- 2.テンプレート
- エレメントをまとめたコンポーネントを組み合わせたものを所定のテンプレートに収めることで統一された世界観を出していく。
- 3.マルチエントランス
- トップページから来訪するユーザーはもはや存在しない。どのページへもダイレクトアクセスすることを前提にコンテンツを作成する。
- 4.最適化
- 顧客の様々なデータを統合したDMPとの連携により、Webサイト上での訪問者別、閲覧回数別、デバイス別などの最適化が可能となる。
- 5.ナーチャリング
- サイト訪問者について、ページ閲覧状況、購買状況等に基づくスコアリングを行うことで、訪問者をトライアル客へ、トライアル客をリピート客へ、リピート客をロイヤル客へと顧客育成(ナーチャリング)を図るためのシナリオを組むこともできる。
- 6.ソーシャル
- eメールだけではなく、SNSツール(LINE等)を利用したメッセージの出し分けも併用することが有効である。
神野氏は、最初の3つ、すなわち「コンポーネント」「テンプレート」「マルチエントランス」の3つに取り組むだけでも、カタログ的なフラットなWebサイトから、マーケティングツールとしてのWebサイトへの進化になると述べた。
そして、マーケティングオートメーションをどんなツールによって実現するかについては様々な選択肢があるが、ジゾンの「HeartCore CXM」を利用して、訪問者に情報を探させない、また、『分かりやすい』『見やすい』サイトを構築することにより、売上を10倍に伸ばした実例を挙げつつ、「HeartCore CXM」の特徴をデモをまじえて紹介してセッションを終えた。
松尾がお話しした【サイトリニューアル時に考えるべき、“使える”DMPを開発するポイント】の内容に基づく、書き下ろしコラム『“使える”DMPを開発するポイント』が公開中です。どうぞこちらもご覧ください。