コンサルタントのコラム

横浜ベイスターズに学ぶターゲット戦略。データを活かし、ターゲット設定をより精緻に。

横浜DeNAベイスターズの躍進が続いています。本業の勝ち負けでは首位広島に水を開けられているものの、最近は横浜スタジアムのチケットを取るのも一苦労で、ハマスタ以外、神宮や東京ドームでもチケット販売開始早々に取っておかないと行けないくらいお客さんが集まっています。

今年も優勝こそ厳しいもののクライマックスシリーズが十分狙える位置につけています。「セ界のお荷物」とか言われてたころからまだ10年ほどしか経っていないのに嘘のようです。なんといっても「この時期まで野球が楽しめる」ことがうれしくてたまりません。

ジェネシスコミュニケーションの田代です。
弊社サイトがリニューアルしまして、記事を書くにあたり少し条件が緩やかになりましたので、身近なテーマでマーケティングのことを書いてみたいと思います。

テーマは「データを活かしてターゲット設定をよりリアルに。DeNAベイスターズ5年で約2倍の集客」

昨年度までDeNAの社長をされていた池田さんはあちこちでインタビューを受けられたり、書籍も出されたりしておりますので、色々なメディアで目にされた方も多いかもしれません。今日はその施策についてお話ししたいと思います。

◎DeNAベイスターズになってのビジネス成果(売上・集客)

まずこちらをご覧ください。DeNAが球団を持つ前年の2011年と昨年2016年での比較です。

売上や観客動員数がこの5年で大きく伸びていることが分かります。1試合平均に換算するとDeNAベイスターズになる前の2011年は約15,000人ほどの観客だったのが、5年後の2016年には約26,900人と倍近くに。横浜スタジアムの収容人数は約29,000人ですので、27,000人近い入場者数というのはほぼ空席が目立ないと言えるでしょう。ファンクラブやシーズンシートも好調のようです。

では、どのようにお客様を増やしていったのでしょうか。

◎DeNAベイスターズで取り組んだ施策

この5年の間、本業の野球以外だけでもかなりのことをやっています。
チーム強化以外の取組をまとめるとこんな感じになります。
(ちなみに本業は、ドラフト戦略の変更に伴うルーキーの活躍や若手選手の躍進など、それだけで一日中喋ることができるのですが、それはまたの機会に・・・)

かなり多くの仕掛けを投入していることが分かります。

ですが、こうした仕掛けの華やかさの裏に大事にされていたポイントが1つあるようです。
それは、コアとなるお客様をきっちりと想定したということ。数々の施策は、そのコアのお客様を中心に徐々に広げっていったのではないでしょうか?

野球やJリーグなどスポーツチームの売上は、「チケット(一般販売分とシーズンシート)」「グッズ」「スポンサー」「放映権」「その他(優勝賞金やサッカーの場合は移籍金)」で構成されています。売上を増やすために必要なのは、顧客心理の理解と、彼らの購買意欲を引き出す工夫です。

数々の施策の成功の裏には、顧客心理の理解=しっかりとコアのお客さんを想定したということが挙げられます。最近の流行りの言葉で言えば「ペルソナ」がしっかり描かれていたわけです。

横浜DeNAベイスターズの経営・IT戦略部長、木村洋太さん、事業本部・本部長の元沢伸夫さんはインタビューでこのように語っています。

親会社になってから、真っ先に顧客データの収集に精を出した。「一番は、まずどういう人が試合に来ていただけるのか。チケットを買っていただけるのか。そこが分かっていなかった」。球場内の機材を一新し、来場者の行動をデータ化していった。
(出典:AbemaTIMES:演出・グッズ・フードにこだわり 大量データで顧客分析 横浜DeNA観客動員増の秘密

その結果、30代男性を中心とする層が多いことがわかったため、彼らを「アクティブサラリーマン」=「仕事が終わってから飲みに出かけたり、土日もアウトドアやスポーツを楽しんだりする層」と位置付け、メインターゲットに設定した。
(出典:AbemaTIMES:横浜スタジアムの観客数を球団史上最高に導いたDeNAベイスターズ部長の「顧客戦略」

 

と、一見華やかに見える仕掛けの裏には、来場者のデータを分析し、コアとなるターゲットを「30代のアクティブサラリーマン」としてしっかりと位置付けられており、彼らが楽しめるようにするためにはという視点で色々な施策が立案されてきたことが分かります。インタビューでは書かれていませんでしたが、もっと具体的な「アクティブサラリーマン像」を描いていたに違いありません。

「アクティブサラリーマン」が楽しめるには。そういう見方で先ほどの施策を見てみると、スタジアムグルメの充実や、球団オリジナルビールの販売、数々のイベント、そしてそれらをソーシャルメディアを活用して拡散したりインターネットに軸足を置いて情報発信したりと、すべてが繋がって見えてくる気がします。

ジェネシスでも、初めてのクライアント様の場合、ターゲット客の設定とターゲットが企業と触れるタッチポイントの整理をまず最初に行うことをお勧めしています。

 



執筆者:田代靖和
株式会社ジェネシスコミュニケーション
マーケティングコンサルタント


 

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