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ノンプログラマー協会と考える!第2回 なぜ企業のDX化は進まないのか?

一般社団法人ノンプログラマー協会の代表理事を務める高橋宣成さんを迎えて、前回に続いて、マーケの強化書編集部が対談を行いました。今回は、企業のDX化をどう考えるべきか。継続的な学習を望むノンプログラマーにとって、企業の働く環境はどうなのか? 直面する現実を前に、何ができるかについて議論を進めています。

目次

真の理解にはプログラミングが必要!?

田代

田代

前回(※)は、日頃プログラミングと縁遠いノンプログラマーであるビジネスパーソンが、ノーコードツールやローコードツールとどう向き合えばいいかについて、高橋さんにお話をしていただきました。

※ノンプログラマーのビジネスパーソン必読!
第1回 ノーコードツールとの向き合い方
田代

田代

引き続き、前回のノーコードツールの話に絡めた質問になります。「ノーコードツールで実現したいこと」を「しっかりと理解したい」と感じた際、結局は「プログラミングの知識が必要じゃないの?」という疑問が浮かぶのですが、どうお考えですか?

高橋

運用度合いが深まって「やりたいこと」「望むこと」のレベルが上がっていっても、基本的にはプログラミングの知識は必要にならないツールであってほしいと私は考えています。文字通りノーコードで実現できるツールであってほしいですしね。

それよりも、データベースについて概念を理解したり、ざっと説明できたりといったことが望ましいです。データの扱いなど、一定のリテラシーがあればあるほど開発はしやすくなりますし。例えば、「検索や集計などには、構造化データのほうが望ましい」ということや「Excelやスプレッドシートにデータベースとしてデータを置く方法」あたりを知っているだけで、開発でつまずくことは少なくなると思います。

田代

田代

では、ノーコードツール(ローコードツール)を使ってのプログラミング学習についてお聞きします。実際に「学ぼう!」「やるぞ!」となっても、それなりの覚悟が必要かなと思うのですが。

高橋

これまで私たちの活動の中で、さまざまな方を見てきました。特に、プログラマーがノーコードツールを使うと、あっという間にマスターする姿は数多く見られました。ソフトウェア開発の進め方を知っているからこそ、未経験のノーコードツールに対してもすぐに使いこなせる傾向があると言ってよさそうです。

田代

田代

なるほど。プログラマーの方であればそんな気がしますね。では、ノンプログラマーの方はどうでしょう? ノンプログラマー(非技術者)の方でもプログラミングへの意欲や興味があって、少しずつ学習すればそこで得た知識やセンスは活かせますか?

高橋

はい。ノンプログラマーの方々に声を大にして伝えたいのは、プログラミングをやらされるものとしてやらないこと! ノーコードツールを学習する中で必要性を感じて、自発的にプログラミングを学びたくなってほしいです。理想論かもしれませんが。学習へのためらいが少しでもあるなら、無理は避けてほしいです。学習で得られるプラスの要素が大きいことは確かですから、気持ちが高まった時に改めて考えてみてください。

必要性に応じて自ら意欲的に取り組めると、ノーコードツールにしても、プログラミングにしても、継続的な関わりができて習熟への深まりにつながります

「企業のDX化」の現状は?

田代

田代

企業とノーコードツールという観点で、もう少し話を掘り下げたいです。例えば、予算はないし人的リソースも乏しい状況で、企業が現状の打開策にノーコードツールを導入することは、本当にリアリティのあることなのでしょうか?

高橋

コストについて言えば、ノーコードツールの多くはあまり費用を要しないものです。だいたいが月に数千円くらいで、そこはあまり気にならないと思います。

ノーコードツールで引っかかってくることは、前回も触れた通り、いつまでに何ができるかについて「試していじってみないとわからない」ことです。しかも普段の業務を抱えながら、ノーコードツールを行うための人の配置は難しいものです。ノーコードツールを使いこなせるまでには、人材とセットでトライ&エラーを繰り返せる創造的な時間確保も必要ですから

田代

田代


この話は、ノーコードツールだけでなく、企業と従業員の関係性にも通じていそうですね。

高橋

おっしゃる通りです。本職のプログラマーであれば、そもそも会社の理解が得られやすいわけです。社内には先輩社員がいて、上司も経験豊かで知識がある。そこには、スキルを身につけやすく周りに相談しやすい環境があります。ノンプログラマーで非IT部門だと、そうはいきません

田代

田代


つまり自社の環境だけではスキルを身につけられないと。

高橋

たとえ独力でスキルを身につけても、上司や先輩社員が「ITは苦手」と公言し、デジタルの伴う改善案を出しても通らない。それどころか、デジタルが得意と知られたばかりに、自分にだけデジタル案件が丸投げされたり……。

田代

田代


当人はやりきれませんよね。でもよくありそうなシチュエーションです(苦笑)

高橋

そうして行き着く先は、本当はスキルを身につけているのに周りには言わない(言えない)人を生んでしまう。これを私たちは“隠れキリシタン”なんて言ったりするのですが…。国内企業全般のDXを考えた時、できているという大手企業経由の報道も見受けますが、あってもごくわずかです。特に中小企業ではほとんど進んでいない、というのが私の認識です。

ノンプログラマーを取り巻く現状は、たしかに厳しいかもしれません。だからこそ……何とか変えたいですよね?!

個人も組織もアップデートが必要

田代

田代


「自分の会社もうまくいっていないな」というユーザーが少なくなさそうです。だからこそ、どうしたらいいのでしょうか。高橋さんはどうお考えですか?

高橋

いわゆる従来の日本型企業は、構造的な変化や仕組みの変革が苦手です。一方で、私たちも活動を通して、個人のやる気を支えるだけでは世の中が変わらない現状を痛感しています。やはり、ノンプログラマーという個人のアップデートとともに、DXを求めたい組織側のアップデートも一緒に行うことが求められるのです

個人の意欲的な活動は大切な半面、できることに限界があります。
個人としての意識改革だけでなく組織側も連携してアップデートできることが求められます
田代

田代

前回の越境学習の話でも、チームリーダーがアウェイで学び、ホームにその学びを持ち帰ると業務改善の効果を発揮しやすい。というご指摘がありました。裏返すと、リーダーではない人が持ち帰った時、一人の社員の発言力や行動に対して組織側の反応は鈍く、活かしづらい現実もある。そこを変えていきたいですね。

高橋

例えば、組織のあり方、企業内外でのコミュニケーションのあり方、ビジョンの作り方など、これまでのさまざまな仕組みを総点検して、どの部分をどう変えるべきか? 変えられないままになっていない箇所を洗い出しましょう。洗い出した結果、それが何かしらのデジタルツールの導入が一案となるなら、導入を決断して挑む価値があると思います。実務で取り入れて、実際に動きながら、少しずつ自社に知見を蓄積してほしいです。

本質と向き合い、実務へとつなげる

高橋

「じゃあ、導入しよう!」とならないのが、従来から横たわる壁ですよね。例えば、現場の上司に相談して、さらに上のマネージャー層におうかがいを立てて、またさらに上の経営層に承認という名のハンコをもらわないと先に進めない。

田代

田代

これは私たちの現場でも、とてもよく耳にすることです。せっかく意欲にあふれ行動していた人たちが、こうした壁に直面して、やる気ばかりを削がれていってしまう。こうした現状を残しながら、組織のDX化という旗を振りかざしても「一体、何をしたいのか」となります。

高橋

IT、デジタルの業界ではよく「アジャイル」や「アジリティ」という言葉が出てきます。もっと国内企業の中から、業種業界を問わず、こうした言葉や考え方がどんどん出てきていいと思っていますが、一般的にはほとんど聞かれません。

田代

田代

マーケティングの現場、特にデジタルマーケティングで言えば、多くの手数を打つことでわかることがあります。ツールを入れたら現場が必ず、しかもいい方向に変わるのかというと、実際はそうではないことがあります。打った手がすべて成功するわけではなく、手数の中で生じた失敗はなぜ起きたのか? 原因をあぶり出して次にしっかりと活かせるのか?

高橋

ツールを導入する前の組織体質の変革に向き合えるか。そこを見ようとしないと、組織のDX化という言葉だけが踊ってしまうので、中で働く人たちが戸惑うばかりになります。本質に向き合い、まず小さく進めては検証し、そこからの学びを反映しながら少しずつさらに前進する。まさしくアジャイルであり、アジリティを実践していきたいです。

田代

田代


今回もありがとうございます!

次回は・・・

今年に入って、大きな注目を集めている生成型AI「ChatGPT」について、ビジネスやマーケティングの場面でどのような活用が期待されそうか? そして私たちはChatGPTと、どのように向き合い、また活用できるのがいいでしょうか? 高橋宣成さんに質問しながら、今後のChatGPTについて話をうかがいます。

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株式会社ジェネシスコミュニケーション

ジェネシスのマーケティングプロフェッショナルが編集を担当。独自の視点で厳選した実践的ナレッジをお届けいたします。

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